れしをそう。

嘘。そう全部、嘘。Twitter:@nisemonoko

お布団とお風呂の二重生活。

お布団はいつも私を温めてくれました。


夜から朝までずっと、私を離さないでいてくれました。
朝になるといつも「行くなよ」と言って
私を引き止めますが、私はそれを払い除けて
夜までお布団には戻りません。

そして

払い除けて向かう先は、温かいお風呂です。

お風呂も、いつの時も短い間ですが、私を温めてくれます。


最近は寒いので、私はお風呂にいる時間が前よりも多くなってしまいました。
お風呂に浸かってる間、お布団の温もりを私は忘れてしまいます。

仮に思い出したとしても、こっちの方が温いのかも?と錯覚をしちゃいますので

自分を、駄目な子だな。と思います。責めたりもします。

お風呂はいつも私に、「のぼせるから、早く出な」と言います。
私はクラクラとしながらも

「まだつかっていたい」と言います。


「それはダメだよ、気絶してしまう。溺れて死んでしまうよ。」と言われて私はお風呂を出ていきます。

嫌々ですが、出ていきます。


そして、夜になり

冷えた身体を、迷いもせずにお布団に預けます。

お布団はどんな時でも変わらずに

「おかえり。」と言ってくれます。

私はゆっくりと眠りの中に入りながら
やっぱりずっとお布団にいたいな。と思います。


決してここでは、溺れてしまうことも無いし
暑い夏にも、春や秋にでも、お布団は私の傍にいて包んでくれていた事を思い出します。
ずっとここにいて、私を信じて待ってくれていた事を思い出します。

そして

どんな私でも包んでくれるのは、お布団だ。と気付いて私は泣きます。目が腫れるまで泣きます。

そしていつも通りの朝が来て、

「行くなよ。ここにいろよ。」というお布団を

私は悲しい目で、また同じように払い除け、

お風呂へと向かってしまうのです。

冬の間だけ。寒い間だけ、許して。

と、またお風呂に温もりを求めてしまうのです。



そんな繰り返しをしている中で

ある日、私は気付きます。

 

お布団とお風呂の温もりを交互に感じて、

どちらにもいい顔をして、

温もりを求めてしまっているズルい今の私は、
いつか本当の温もりを忘れてしまうのではないか。と、突如襲いかかってくる恐怖に、私は気が済むまで、泣くのでした。目が腫れるまで、泣くのでした。

 

そこで大切な事を私は気付きます。

 

どんな私でも、眠りの中へと誘ってくれる

優しく抱きしめてくれる

そんなお布団に私は落ち着くのだ。と、気付きます。

 

 

どちらも好きなままでいたい。

といった、そんなズルさが私をたまに惑わしてきそうにもなりますが

繰り返しながら、また私は気付くのです。

 

たぶん夏になると、私はお風呂には浸からないんだろう。と
それがきっと、最終的な私の選択だと気付くのでした。

 

私がずっと永遠に感じていたいのは、お布団の温もりなのだと気付くのでした。

 

と、まあ、そんな冬の話。

温もりを求めないとやっていけなかったズルさの話。

お布団とお風呂の二重生活を楽しんだ話。
くだらない話。寒い日の弱さの話。