れしをそう。

嘘。そう全部、嘘。Twitter:@nisemonoko

明日の明日に、殺されて。

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新しく、ここ「れしをそう」のロゴを新調することにしたので、どうか早く慣れてください。

 

まあ、新調するにあたって

“気持ちを新しく!”なんて綺麗なきっかけとかは無く、

「飽きそう」だったから「新鮮さ」になればいいと思ったからです。

 

特に何も言うことはありません。

 

新鮮さ

私は昔から、新しいもの、そして新しい環境が大好きだった。

 

例えばそれは、

新しい席

席替えをした次の日からの1週間。

新しい学年

新学期初日のクラス発表、慣れない教室、慣れない担任、新しい教科書、新しいクラスメイト。

新しい服、靴、鞄

言うまでもなく、新品のにおいを漂わせて歩く1日。

新しい職場

慣れない業務内容、オドオド、知らない人、知らない場所、知らないマニュアル、ルール。

新しい家

それは新居じゃなくてもいい。

新しい生活が始まるドキドキが好き。

ワクワクする部屋の配置に、新鮮な間取り。

新しい恋人

これから知ってもらえる緊張感と、これから知る事が出来る、許認を得た新しい関係。

相手の癖、仕草、家、生活リズム。

 

まあ、たぶんもっとあるのだけど、

とりあえず私は「新しいって良いよね」と何度も口にして生きてきたような人間だ。

留まれない人間だった。

 

「知らない環境って怖くない?」

「新しい環境って慣れるまで辛くない?」

「また1からって思ったら萎えるよね」

 

なのに、私以外の人は決まって、環境の変化を恐れていた。

 

“新しい=新鮮さ”ではない。と、傲慢に“安定”の素晴らしさを何度も知らせてくれるのだ。

 

「ほんと他人って、恩着せがましい」

 

3月

2018.3.1

私は何故か、私に纏うすべてに飽きそうになっていた。

 

食べること。寝ること。仕事をすること。文字を書くこと。読むこと。誰かを愛すること。守ること。恐れること。頑張ること。休むこと。

 

そして、瞬きをして、息をしながら生きること。に、飽きてしまいそうになっていた。

 

「なんか、足りないなぁ」「なんか、もっと、こう」

 

と言って、さっきから暴れ回ることを繰り返している私の中の私に、

 

「わたしがすごく怖いこと覚えてる?思い出せる?」と、問いかけてみた。

 

これが精一杯の予防線。

 

すると、ついさっきまで辺りのモノを乱雑にミックスさせていたはずの私の中の私の手が、一瞬止まった。

 

だけど、さっきよりも勢いを増した私の中の私は

 

「そんなのどうでもいい、飽きた。怖いとかもうどうでもいいから、なんか新鮮さが欲しい!そうじゃないと壊れる!」と、大声で叫んでた。

 

「きっとあの人もそうなのかな?」

 

「きっとそうだよ。

きっと君にだって、みんな飽きてるはずだよ」

 

「でもだからって、どうしたらいいのかなんてわからないし」

 

私の中の私は、きっと私自身を狂わす悪魔だと思う。こいつは、いつだってそうだった。

 

しかし、私が私を邪魔してくるものをどんなに憎んだとて、

私の中の私は、私自身の本質であり、本心だ。

 

私の甘えを具現化させた、私だ。

 

今だって、彼女が勢いよく投げてくる“無責任”も私のもの。

 

つまり、私自身に怯え、私自身に苦しめられているだけの話だった。つまらない。

 

ここ数年ずっと、私の中の私と、こうやって対話しながら、上手にやってきたつもりだった。

 

何かあれば私の中の私は、悪魔のようにかき乱してくるけど、私は上手に飼い慣らしている。と、思い込めていたはずだった。

 

「私だって、もう飽きたよ」

誰にも聞こえないくらいの小さな声は、柔らかくもないマットレスに沈んでいった。

 

そして、息を3回、瞬きを7回、目を閉じて開ける。

 

汚くなったシーツを剥ぎ取り、布団を干し、新しい鞄を背負って家を出た。

 

徐ろに、私は風の強い世界を切り裂きながら走った。

 

走って、走って、私の中の私が消えてくれるのをひたすら待った。

 

新鮮さに変わる何かが、どこかに落ちてないか。

新しいもの、新しい道、新しい何か。

 

私を落ち着かす、新しい欲望、とりあえず。

 

ラストオーダーのお時間ですが

「大丈夫です」

 

これまで1度も入ったことの無かったカフェに入ってから、もう3時間が経ってる。

 

何かをする事も無く、何かを考えることもしていなかったはずなのに、

時間は無情、明日と私を繋ごうと、必死だ。

 

「ラストオーダーのお時間ですが、なにかご注文はございませんか?」

 

と、汚れてるエプロンの女性が、私の暗黙を突き破ってくれた。

 

「新鮮さをください」

と、答えたい気持ちをグッとこらえ

大丈夫じゃないはずなのに「大丈夫です」と答えた。

 

その後、我に返り時計に目をやるが、時間が認識できなくなるほど脳みそは、馬鹿になっていた。

馬鹿になってたのは、感情の方だったのかもしれないけど。

 

ただ1つ解ったのは、

明日と私を繋ぐ棒、毎日を刻む棒、残酷な数字。と、いう事だけだった。

 

隣の人が「いかなきゃ」と、席を経つ。

 

何故かそれが私の耳には「生きなきゃ」と変換され、心無くかき乱してくれた。

 

滲み出す視界を必死に隠してしまおうと、顔を下に向け目を閉じてみた。

 

飲んでいたコーヒーは、氷が溶けて色を失いそうになってた。

涙は流れなかった。

ここで終わらせるのは、違う気がしてきた。

 

「わたし、まだ負けたくない」

 

最後の最後の最後には

早く明日なんか終わればいい。

 

そして明日が、その次の明日を連れてきて、いつかを終わせてくれるのなら、もっといいのに。

 

自分の力で、自分の足で、自分に優しくすればいい。

迷うなら、やればいい。

壊したいなら、壊せばいい。

 

私だってもう限界だ。もう耐えられない。

 

だけど、

まだ残ってるんだ。

私には、やりたいことが山ほど残ってたんだ。

 

だからまだやらして。

まだ見させて、まだ耐えさせて。

 

私がぐっと堪えられた映像に、誰かの笑顔は、変わらずあったんだ。

すごくホッとしたんだ。わたし。

 

君がなんと言おうが、

明日の新鮮さに私は行くよ。

じゃあね。