0を100にするように、息をしなさい。
「毎日、嫌いになる」
求められない事に慣れてしまうと、人はどうなってしまうのだろう。
いつか“信じる”という事さえしなくなって、この世界を死ぬ為に生きるようになるのだろうか。
ずっと毎日のように好きだったものが嫌いになる。
いや嫌いになるというよりも、好きだったものが自分には適わない事に気付いていく。
音楽を聴くのも、才能を押し付けられているような気がして鬱陶しいし
本を読むのも、映画を見るのも、自分を律してしまうから無償に疲れてしまう
生きる事さえも、いつかは“楽しめるように”“笑えるように”“好きになれるように”とかで身体の奥から湧き出てくるエネルギーに身を任せながら勢いよく生きてきたはずだった。はずだったんだよ。
でも、いつしか
私は空っぽという事実から、避けるようになって、逃げるようなって、日々を過ごしていた。そして、それに慣れていた。
昔、星を見上げて、空を手で撫でながら
「ねえもっと見たいよ」と呟いた日の事を私は忘れた。
詰まらない日々を過ごしながら、何かに喰われていく事に抵抗をしなくなって
強くなったと勘違いして紡ぐ事を辞めた。
星は見えなくなった。いや、星を見る事をしなくなった。
私は世界に自分が適合するようにと、努力する事を辞めてしまった。
そして、ひとりの夜に「寂しい」と呟く人を、下らない。と思ったし
誰かがいないと何もできない人を、惨めだ。と思った
この世界にちゃんと溶け込んでいる、人間らしい人を見て
何度も何度も気持ち悪いと思った。
諦めて生きる事に慣れていたら
いつか当たり前のように求められなくなって
求められない空っぽな自分を責めたりしても、めんどくさくなって
遠い知らない街に旅に出たいとさえ思わなくなった時、私は私を責めることも、認めることも、期待することも全部辞めたんだと気付いた。
私は私を知ったんだ。と気付いた。
とはいえ、この世界はまだまだ生きていかないといけなくて
ご飯を食べるためにお金を稼いで、周りの人の目を気にしてお墓に一緒に入る人と、愛をしてるごっこをしないといけない
まだまだ騙し続けないといけない。
この世界が好きだ。と、騙し続けないといけない。
僅かな希望をいちいち手に取って声に出してみる
「私はまだ生きたい」
僅かな願望を、欲望を声に出して形にしなくちゃならない
誰かの目に入れてもらえるように
自分にはまだ出来ることがあるんだ。と騙し続けないといけない。
潜っていかないといけない。
そして深くもぐりすぎて何も見えなくなった真っ暗闇で光になれるんだ。と、思い込まないといけない。
だからこれからは
「毎日、好きになる」
汚いものを綺麗にする事だけに力を注ぐことにする。
失った、目に見えないものだけを、形にする事に力を注ぐ事にする。
今ならきっと0を100にできると思うから。