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れしをそう。

嘘。そう全部、嘘。Twitter:@nisemonoko

優れた旋律。

あの頃、私達の傍で流れていた、愛しかったはずの旋律は

今となっては、安易に耳に流し込む事ができた。

胸を焦がす事も、痛むことも、潤む事すら無かった。

 

もしもあの日、私の親指が希望を待っていなければ、

もしもあの時、私が人として生きることを忘れていなければ、

新たに塗り替えられる事など無かった。

その美しすぎる旋律に、泣くことなんて無かったのだろう。

 

記憶は常に更新され続けていた。

生きてないようで、生きていたし

覚えてるようで、忘れていた。

そこに留まっていたようで、確かに動いてたのだ。

 

何故、あんなに美しく見えたのだろう

何故、あんなに美しく聴こえたのだろう。

その新しい旋律が一瞬にして私の血液を巡り、毒していくのに

どうして私は疑問を覚えなかったのだろう。

抵抗しなかったのだろう。

どうして委ねてしまったのだろう、心地よさに締め付けられてしまったのだろう。

 

あの日の記憶と共に流れてくる不調和音に声を乗せた時の事

あの日を取り戻すために、悲しい旋律を並べ替えた時の事。いつも私が“嘘”を隠し持っていた事。

そのすべてを華麗なものに差し替えてくれた。深く愛することが出来た。

 

記憶はあの日から確実に更新され続けてる。

 

愛しすぎて思わず触れてしまったモノは

確実に震えてたし、その場で激しく揺れて音になってた。

その瞬間の答えを私は、まだ持っていなかった。

 

 

この耳に流し込む、艶やかな音

この音の旋律は、きっと今の私にしか覚えられなかったはずだ。

これを記憶に刻む事を許してくれたのは、過去ではなく未来への期待だから。

 

あの日出会った優美なその旋律は、誰よりも優しく私に触れてくれた。

だから、もういいんだ
ここに全部、置いていく
邪魔なものはすべて、ここに忘れていく事にする。

 

それは、今よりも私達が優れていくためにね